理想の自分を描いて自己実現へ：おうちでできるビジョンアートセラピー
理想の自分をアートで描き、未来への第一歩を踏み出す
心理学や自己啓発に関心を持つ皆さんの中には、「理想の自分になりたい」「将来の目標を明確にしたい」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。頭の中で漠然と考えているだけでなく、もっと具体的な形にできたら、という思いもあるのではないでしょうか。
今回は、自宅で手軽にできるアートセラピーの一つとして、「理想の自分」を視覚的に表現するワークをご紹介します。特別な絵の技術は必要ありません。紙とペン、そして少しの時間があれば、誰でも始めることができます。このワークを通じて、自己理解を深め、未来への道筋をより鮮明に描くお手伝いができれば幸いです。
おうちでできる「理想の自分」ビジョンアート
このワークは、あなたが思い描く「理想の自分」や「なりたい未来」を、絵や色、言葉や記号など、自由な方法で一枚の紙の上に表現するものです。「ビジョンアート」や「ビジョンボード」と呼ばれることもありますが、ここではアートセラピーの要素を取り入れ、表現するプロセスや作品から感じ取ることにも焦点を当てていきます。
必要なもの
- 大きめの紙（スケッチブック、画用紙、コピー用紙などを繋げても良いでしょう）
- 描画材（鉛筆、ボールペン、色鉛筆、クレヨン、絵の具など、使い慣れたもの、好きなもの）
- （あれば）雑誌やパンフレット、新聞などの切り抜き、のり、ハサミ
- 心地よく過ごせる時間と空間
自宅にあるもので十分に始められます。大切なのは、高価な道具を揃えることではなく、気軽に始められることです。
具体的なやり方
-
準備と内省の時間: 静かで落ち着ける場所を選び、リラックスできる時間を作りましょう。深呼吸を数回行い、心を落ち着けます。 目を閉じて、あるいはゆったりと遠くを見ながら、「もし制限が一切なかったら、どんな自分になっていたいか？」「どんな生活を送っていたいか？」「何を感じていたいか？」といった問いについて、じっくりと考えてみてください。すぐに明確なイメージが湧かなくても大丈夫です。心に浮かんでくる感覚や言葉、風景などをぼんやりと感じてみます。
-
理想の自分を表現する: 紙を広げ、心に浮かんだイメージや感覚を自由に表現していきます。絵を描くのが苦手だと感じる方もいるかもしれませんが、これは誰かに見せるための作品ではありません。自分自身の内面を解放し、形にするプロセスそのものが大切です。 人物を描く必要はありません。色、形、線、言葉、記号、抽象的な模様など、あなたが一番しっくりくる方法で表現してください。雑誌の切り抜きを貼り付けたり、写真を添えたりするのも良い方法です。 「こうでなければならない」というルールはありません。感じるままに、手を動かしてみてください。
-
作品と対話する: 表現が一通り終わったら、作品をじっくりと眺めてみましょう。描かれているもの、使われている色、全体の雰囲気から、あなたは今、何をどんな風に感じますか？ 作品を見ながら、自分自身に問いかけてみてください。「この部分は、自分のどんな願いを表しているのだろう？」「この色に惹かれるのはなぜだろう？」「この絵を見ていると、どんな気持ちになるだろう？」 感じたこと、気づいたこと、心に浮かんだ言葉などを、作品の近くに書き留めておくのもおすすめです。
なぜ「理想を描く」ことが心理ケアに繋がるのか
この「理想の自分」を描くワークが心理的な側面に働きかける背景には、いくつかの理由が考えられます。
まず、「視覚化」の力です。頭の中で漠然としている目標や願いを、具体的な絵やイメージとして目にすることで、それは単なる夢ではなく、実現可能なものとして認識されやすくなります。心理学においても、目標を明確にイメージすることが行動への意欲を高めるという研究結果があります。
次に、自己理解の深化です。理想の自分や未来について表現するプロセスを通じて、自分が本当に何を求めているのか、どんな価値観を大切にしているのかといった、普段は意識しない内面の声に気づくことがあります。
さらに、自己効力感の向上が期待できます。理想の姿を自分の手で表現することで、「自分にはこれだけの可能性がある」「理想とする未来を創り出す力があるのかもしれない」という感覚が芽生え、自信に繋がることがあります。
また、アートによる非言語的な表現は、言葉だけでは捉えきれない複雑な感情や感覚を表すことを可能にします。ポジティブな未来のイメージを描くことは、希望や肯定的な感情を育む一助となることが考えられます。
実践のコツと、その先のステップ
- 完璧を目指さない: 上手く描くことよりも、今のあなたが感じている「理想」を自由に表現することに集中しましょう。
- 定期的に見返す: 完成した作品を、自分の目につきやすい場所に飾ったり、写真に撮ってスマホの待ち受けにしたりするのも良いでしょう。理想の自分を意識する機会を増やすことで、日々の行動に繋がりやすくなることが期待できます。
- 変化を楽しむ: 時間が経つにつれて、あなたの理想像が変わっていくこともあるかもしれません。それは自然なことです。その時の自分にとっての理想を、改めて表現してみるのも良いでしょう。
このワークは、あくまで自己探求や自己啓発、メンタルケアの一環として行うものです。描いたからといって、全てがすぐに実現するわけではありません。しかし、理想を明確にすることは、そこへ向かうための小さな一歩を踏み出すきっかけになる可能性を秘めています。
まとめ
今回ご紹介した「理想の自分」ビジョンアートは、自宅で手軽に始められるアートセラピーの応用です。紙と描画材を使って、あなたが心に描く理想の自分や未来を自由に表現する時間を持つことで、自己理解が深まり、未来へのポジティブなイメージを育むことが期待できます。
上手さや完成度は気にせず、表現するプロセスそのものを楽しんでみてください。あなたの内なる声に耳を傾け、理想を形にすることで、自分らしい未来を創造する一歩を踏み出せるかもしれません。今日から、おうちで気軽に試してみてはいかがでしょうか。