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おうちで探る心の空間:絵で描く自己理解アート

Tags: アートセラピー, 自己理解, 絵, 内面探求

あなたの心に「部屋」はありますか? 絵で探る内面世界

私たちは普段、目に見える物理的な空間の中で生活していますが、心理学では、私たち一人ひとりの内側にも広大な「内面世界」が存在すると考えられています。この内面世界は、感情や思考、記憶、そして無意識のイメージが織りなす、自分だけの特別な空間です。

この内面世界をより具体的に感じ取り、理解するための一つの方法として、「心の中に部屋があるとしたら、どんな部屋だろう?」という問いかけからアートを通して探求する手法があります。これを絵に描くことで、言葉だけでは気づけなかった自分自身の側面に出会えることがあります。

特別な道具や技術は必要ありません。おうちにある身近なものを使って、気軽に始められるアートワークです。この記事では、この「心の部屋」を描くアートワークの方法と、それがなぜ自己理解に繋がるのかをご紹介します。

「心の部屋」を描くアートワークとは

このアートワークは、心の中のイメージを「部屋」という形に表現する試みです。実際に目に見える部屋を描くというよりは、心の中で感じる空間、雰囲気、色、そこにあるかもしれないものなどを、絵や色、線を使って自由に表現します。

心理学においては、こうした「内面世界」のイメージを視覚化することは、無意識の領域にアクセスし、普段意識していない感情や考え、願望、葛藤などを理解する手がかりになると考えられています。絵を通して自己を象徴的に表現するアートセラピーの一種と言えます。

準備するもの

これらの道具は、特別なものである必要はありません。普段使い慣れているもの、手軽に使えるもので十分です。

実践ステップ

さあ、あなたの心の中の部屋を訪ねてみましょう。

  1. リラックスする時間を作る(5〜10分): 静かで落ち着ける場所を選び、深呼吸を数回行い、体の力を抜いてリラックスします。心地よいと感じるなら、静かな音楽を流しても良いでしょう。無理に「リラックスしよう」と気負わず、「今、ここにいる」という感覚に意識を向けてみてください。

  2. 心に問いかける: 目を閉じるか、視線を落として、自分自身の内側に意識を向けます。そして、心の中で静かに問いかけてみてください。 「もし、私の心の中に『部屋』があるとしたら、それはどんな部屋だろう?」 最初に心に浮かんだイメージを大切にしてください。具体的な部屋の形である必要はありません。色、雰囲気、光の感じ、音、匂いなど、感覚的なものでも構いません。

  3. 「心の部屋」を描く(時間制限なし、自由に): 心に浮かんだイメージを、紙の上に自由に表現します。

    • 部屋の間取りは?広さや形は?
    • 壁や床の色は?窓やドアはある?窓から何が見える?
    • 家具や物は置いてある?どんな物が?どこに?
    • 光は差し込む?明るい?暗い?
    • どんな雰囲気がする?静か?ざわざわしている?温かい?冷たい?
    • そこに「あなた自身」はいますか?いるとしたら、どんな様子で?

    これらの問いはヒントです。思いつくままに、感じるままに描いてください。上手く描こうとせず、間違っても構いません。線でも、色面でも、形でも、記号でも良いのです。抽象的な模様のように見えても、それがあなたの心の部屋の表現です。描いている途中でイメージが変わっても大丈夫です。

  4. 絵を観察する(5〜10分): 描き終わったら、少し時間を置いてから、描いた絵を眺めてみましょう。

    • 絵全体からどんな印象を受けますか?
    • 特に気になる部分(色、形、物、場所など)はありますか?
    • 描く前と描いた後で、自分の気持ちや体の感覚に変化はありますか?

    批判的な視点ではなく、まるで初めて見る絵のように、ただ観察してみてください。

  5. 感じたこと、気づきを書き出す(ジャーナリング): 絵を見て感じたこと、頭に浮かんだ考え、体の感覚などを、言葉にして紙に書き出してみましょう。絵の横に書き込んでも、別のノートに書いても構いません。

    • 「この部屋の色は、〇〇な気持ちを表しているのかもしれない」
    • 「この家具は、最近考えている〇〇のことかな」
    • 「窓がないのは、閉塞感を感じているから?」
    • 「部屋が広い(狭い)のは、心の余裕の現れ?」
    • 「この部屋にいたら、どんな気持ちになるだろう?」

    書き出すことで、絵の持つ意味や、そこから読み取れる自分の内面について、より深く考えることができます。これはあくまで「読み解きのヒント」であり、絶対的な答えがあるわけではありません。今のあなたが感じること、気づくことが最も大切です。

なぜ「心の部屋」を描くことが有効なのか

このアートワークが自己理解に繋がる背景には、いくつかの心理学的な考え方があります。

ワークを行う上でのコツと注意点

バリエーションとさらに深く

終わりに

「心の部屋」を描くアートワークは、あなた自身の内面を探求するための優しいツールです。絵を通して、普段は言葉にならない感情や思考に触れることで、自分自身への理解が深まり、心の状態をよりよく知ることができます。

ぜひ、一度おうちで試してみてください。描かれた絵は、今のあなたからの大切なメッセージを伝えてくれるかもしれません。このワークが、あなたの自己理解と心の探求への一歩となることを願っています。