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今の自分を「何か」に例えて描く:おうちで探る自己表現アート

Tags: 自己表現, 自己理解, アートセラピー, 絵, 比喩

今の自分を「何か」に例えて描く:おうちで探る自己表現アート

私たちは日々様々な感情や感覚を抱えて生きていますが、それらを全て言葉にして表現するのは難しいものです。特に、漠然とした不安や、複雑に絡み合った気持ちなどは、「うまく説明できない」と感じることも多いのではないでしょうか。

そんな時、絵や形、音といった言葉以外の表現方法が、心の内側を探る手助けをしてくれます。今回ご紹介するのは、「今の自分を『何か』に例えて描く」という、おうちで手軽にできるアートワークです。比喩的な表現を通して、言葉だけでは気づけなかった自分の一面に触れることができるかもしれません。

「何か」に例えて描くアートワークとは

このアートワークは、特別な道具や技術を必要としません。必要なのは、紙と描くための道具(鉛筆、ペン、色鉛筆、クレヨンなど、手元にあるもので構いません)だけです。

やり方は非常にシンプルです。静かな場所で少し時間をとり、今の自分の心の状態、感覚、エネルギーを静かに感じてみます。そして、「もし今の自分が何か他のものだとしたら、それは何だろう?」と考えてみます。

動物、植物、天気、風景の一部、抽象的な形、色、音、あるいは全く想像もつかない何かかもしれません。頭で深く考えすぎず、心に浮かんだものや、直感的に「これだ」と感じたものを一つ選んでみましょう。

実践してみましょう:具体的なステップ

  1. 準備: 落ち着ける場所で、紙と描画材を用意します。深呼吸を数回行い、心身をリラックスさせます。
  2. 内側を感じる: 数分間、目を閉じるか遠くを見て、今の自分の気持ちや体の感覚に意識を向けます。どのような感情がありますか?体はどんな感じがしますか?どんなエネルギーを感じますか?
  3. 「何か」を見つける: 内側の感覚を感じながら、「もし今の自分が何か他のものに例えられるなら、それは何だろう?」と問いかけます。心や頭に浮かんだもの、直感的にピンときたものを探します。一つに絞るのが難しければ、いくつか候補を書き出してみても良いでしょう。最も強く惹かれるものを一つ選びます。
    • 例:「嵐の前の静けさを感じるから、どんよりした空」
    • 例:「元気いっぱいの気持ちだから、太陽に向かって伸びるひまわり」
    • 例:「ぐるぐる考えてしまうから、絡まった毛糸の玉」
  4. 描いてみる: 選んだ「何か」を紙に描きます。上手く描こうとする必要は全くありません。形、色、線のタッチなど、自由に、今の自分が感じるままに表現してみてください。
  5. 描いたものと対話する: 描き終わったら、描いた絵を眺めます。それはどんな様子ですか?どんな色や形をしていますか?絵全体からどんな印象を受けますか?なぜ自分はこれを描いたのだろう?と静かに問いかけてみます。絵を通して、今の自分が自分自身に何を語りかけているのかに耳を傾けてみましょう。
  6. 書き留める(任意): もし言葉にしたい感情や気づきがあれば、絵の近くに書き留めておくのも良い方法です。絵から感じた単語、短いフレー句、絵にタイトルをつけるなど、どのような形でも構いません。

なぜ「比喩」が心の探求に繋がるのか

このアートワークが自己理解に役立つのは、私たちが自分自身の内面を理解するために「比喩」や「象徴」を用いることがあるからです。心理学的な観点からも、直接的な言葉にならない感情や無意識的な側面は、象徴的な表現を通して現れると考えられています。

例えば、悲しい気持ちを「心が雨に濡れているようだ」と表現したり、怒りを「マグマが煮えたぎっているようだ」と表現したりすることがあります。このように、具体的なものに例えることで、抽象的な感情がより分かりやすく、捉えやすくなります。

絵として「何か」に例えて描くプロセスは、 * 内面の客観視: 自分自身を一度切り離し、「何か」という別の存在として捉え直す視点を与えてくれます。 * 言葉にならない感情の表現: 言葉の制約を超えて、色や形、雰囲気でしか表現できない感覚をアウトプットする機会になります。 * 無意識へのアクセス: 直感的に選んだ「何か」は、論理的な思考だけでなく、無意識的な側面から生まれたイメージである可能性があり、普段気づかない自分の一面に光を当てることがあります。

描くという行為自体が、集中とリラックスをもたらし、心を落ち着かせる効果も期待できます。

実践のヒントと期待できる効果

このアートワークを通して、以下のような効果が期待できます。

まとめ

「今の自分を『何か』に例えて描く」アートワークは、特別なスキルや道具なしに、ご自宅で気軽に始められる自己探求の方法です。比喩という優しいフィルターを通して、自分自身の心の内側を覗いてみる時間を持つことは、きっとあなたにとって有意義な体験となるでしょう。

難しく考えず、まずは紙とペンを手に取って、今の自分に「もし自分を何かに例えるなら?」と優しく問いかけてみてください。その答えとして心に浮かんだイメージを、自由に表現してみましょう。絵があなたに語りかけてくるメッセージに、耳を澄ませてみてください。